脳 その2

 脳が他の臓器と比べ大食漢だということはよく言われますが、あちこちに指令を出したり、ああでもないこうでもないと考えたりするので、ある程度の大喰いは仕方ないとも言えます。しかし能力の半分も使われていないとなると、これは少し考えものであり、もう少し有効活用しても良いではないか、その辺り君はどう思っているのか、と自分の脳に聞いてみたい気もします。他人の脳はともかく私の脳が100%働いてくれれば、もう少しまともな人生も送れたかもしれず、ひょっとしたら大富豪となってベンツやポルシェを乗りまわす身分だってあったかもしれない、いやそんな狭い根性ではなく、人類、全生命体のため・・・まあそんなことは仮にも無いと思うけど、ビル・ゲイツの足下ぐらいにはなれたかもしれないと思うのです。どうも脳は能力の出し惜しみというか、怠け者というか、余分なものを抱え過ぎているのではないでしょうか。
 私はそんな脳の性格をもろ受け継ぎ、怠け者で、余分なものを抱えこみ、力いっぱい精一杯物事に当たると言ったことを常に避ける人生を送ってきました。今日の私が有るのは全て脳の責任であり、あちこちで発した不用意な発言、不穏当と思える様々な行動の責任の所在は、以って脳によるところであると言わざるを得ません。
 心臓や肝臓、肺、胃や腸など他の臓器は文句も言わず、同じことの繰り返しに耐えて働いています。脳が食い散らかした残り物をみんなで分け合い、つつましく仲良く暮らしています。血液を体中に送り出したり、空気から酸素を取り入れたり、余分なものを分解したり、それはそれは身を粉にして働くというにふさわしい働きぶりです。これらの臓器さんからすると脳の我儘振りは目に余るものと言えます。脳に猛省を促すものであります。
そう言えば「脳天気」という言葉は、もともと「生意気」と言った意味合いで使われていたようですが、いまでは「のんき」みたいな意味となっています。力を出し惜しみ生意気な態度を取り続けている内に、何でも気楽にやってしまうので、はたから見るとのんきに見えるようになった、のかも知れません。全く脳さんは困ったものです。

馬鹿ね 脳のせいではなく自分のせいでしょ。