頼る

 何かに頼って生きることはヒトなら誰しもがやっていることで、特別なことではないように思えます。頼るものはヒトによって様々ですが、物であったり宗教であったり他の人であったり、もちろんお金が一番頼りになると言う人も多いかもしれません。“頼れるもの腰のドス”と言った人もいたようですが、そんな物騒なもので無くとも、何か一つ頼れるものを持っていることは安心の条件の一つであるようです。しかし一つのものに頼り切ってしまうというのも不安定なことで、頼れるものは複数あったほうが良いと思われます。
 ところが、他人を頼る場合、あっちにもこっちにも頼っている人は、頼られるほうにとっては今一つ頼られ甲斐がないというか、でもその分気楽というか複雑な心持であることもまた事実です。要するに、人に頼ったり頼られたりするのはかなり難しい間合いが必要で、全部おんぶにだっこするのでなく、ほどほどの距離を守った頼り方を考慮しないと、肝心の頼る時に齟齬が生まれてしまう恐れがあると考えられるのです。
 私は大人の付き合い方というのが良く分からなくて、どう言ったものであるのか具体的に説明できませんが、“ほどほどの距離”といった要素はかなり重要な部分を占めているのではないでしょうか。その辺りの間合いの取り方が難しいので、お金だったりドスであったり他の“物”を頼りにする方向に流れやすいのかも知れません。
 ここで“我が国は・・”とやるとお説教臭いのでやりませんが、一方に頼り切るのは「首ったけ」になることと同じで、目先のことしか考えられないようですから、いろんな面で注意するに超したことは無いでしょう。しかし、「首ったけ」になれる程の元気は羨ましいことです、なれるものならなってみたい、けれど私はそんな元気がありません、しかしこれは“頼る“とはあまり関係が無いことでもあります。

私に頼っても駄目よ。