ベニスの商人

 言わずと知れたシェイクスピアの作品ですが、キリスト教徒がユダヤ教徒を理不尽にいじめる物語として有名です。イスラエル辺りでは上演されない、なんてことは無いのだろうけど、“よくまあ、そこまでやるか”思えるようなストーリー展開で、ユダヤ教徒ではない私でさえも“シャイロックさん可哀想”と感じてしまうほどの結末を用意した芝居です。この芝居ではシャイロックが金貸しで悪役なのですが印象が鮮烈で、どうも金を借りるほうの主役とも言えるベニスの商人達の名前が記憶に残らないのです。ポーシェというヒロインも、いったい何で裁判官になることが出来るのかその辺りも良く分からないのですが、もともとシェイクスピアの物語はつじつまの合わないことが多いので有名ですから、そんな些細なことを気にかけることは意味がないのでしょう。
 ところで、この芝居はユダヤ教徒いじめの外に「利子」をとることにもいちゃもんをつけています。当時キリスト教徒は利子をとって金を貸すことを禁じていたようです。キリスト教とは根っこが同じのイスラム教徒も同じような考えを持っているらしく、オイルマネーで財布がパンパンに膨らんでも金貸しや銀行業でなく、投機と言う名の運用で財産を増やしているようです。原油を売ったオイルマネーでまた原油先物買いなどをして儲けるという、とんでもない運用もしていると言います。キリスト教徒は今では銀行業も投機も武器の売買も何でもやっていますから、イスラム教徒よりは節操がないかもしれません。シャイロックにお金を借りたキリスト教徒も節操がいまいちでした。ユダヤ教徒キリスト教徒同様に何でもやっていて、おまけに今では経済的にはキリスト教徒より優位となったり、ついでにイスラム教徒まで苛めています。「ベニスの商人」では苛められ役のユダヤ教徒は、今はイスラム教徒を苛め、そのイスラム教徒はオイルマネーキリスト教徒やユダヤ教徒に泡を吹かせたりつるんだりしています。「利子」は手数料だからOKね、とキリストが言っておけばシャイロックも余計な苦労をしなくてすみ、イスラム教徒も投機になんか走らず地道な銀行業に精を出して、原油の高騰やドル安にはならなかったかも知れません。しかし宗教と言うのは厄介なものです。

今年の夏は暑いから ばてたわ。