パン屋は道徳的ではない、のか?

 新学期から義務教育で「道徳」が正教科されるとのことですが、その道徳の新教科書の記述中に出てくるパン屋さんの仕事が問題で、これを和菓子屋に変更するように修正させられたとの報道がありました。唖然とするような話で、もともと「道徳」などを授業という押し付けられた環境の中で、一方的に“教える”ことが出来るのか甚だ疑問であり、日常の社会生活の中でこそ学ぶべき課題と考えています。今回のこの“パン屋、和菓子屋”の問題は、まさに“日常の中で学ぶ”という視点をまったく無視して、一方的に上から定型の思想を押し付ける典型であると思えます。
 義務教育の現場や一方の当事者である適齢期の子供の親たちは、もう少し敏感に反応しても良いと思うのですが、あまりそのような声は聞こえてきません。「共謀罪」法案や秘密保護法、新安保法制と、矢継ぎ早で“戦前回帰”とも思える法整備の強行は、何とも不気味に感じられます。おりしも戦前の教育や天皇制を模範とする教育者が、同じ考えを持つと思われる人たちから嘘つき呼ばわりをされて、“トカゲのしっぽ切り”と吐露する状況が起きていることに何とも不思議な違和感を覚えます。あまり“道徳的”とは言えない現実が繰り広げられていると思えるのです。

道徳的ポーズ