人殺しの国

やーもう暑いねえ、と言って2日続きでサボる訳にもいかず、少し涼しくなるかも知れない“人殺し”の話を。
 古本屋へ行って買ってきた本ですが、「心臓を貫かれて(原題 SHOT IN HEART)」という本がそれです。マイケル・ギルモアという作者の自伝風というかノンフィクションで、村上 春樹の訳で1996年に出版されています。以前に読んだ「コールド・マウンテン」の時も思ったのですが、アメリカという国はかなり荒っぽい国で、開拓時代のみならずつい最近まで、人が人を殺すことが日常と思えるような、どうもそんな国であったようです。「銃社会」という背景があるにしても、ただそれだけではない要因がありそうな気がします。
 本の紹介ではないし、正直に言ってしまえばこの本未だ読み終わってないし、だから本と人殺しの国との相関関係について述べようにも無いのだけれど、作者の身のまわりで起きた“人殺し”が、何か特別でない、日常の延長線で起きたような、私が育った1900年代中盤以降の日本にはない世界の話に思えました。あの当時私は「名犬ラッシー」などというアメリカの農村を描いたTVドラマなどをよく見ており、TVのゴールデンタイムは軒並みアメリカの西部劇やホームドラマといった時代でした。それらからはとても“暗いアメリカ”と言ったイメージはなく、そこには豊かで清潔で正義が満ち溢れたアメリカがあったのです。その後ベトナム戦争がはじまり、アメリカという国の凶暴さが少しづつ分かってくるのですが、そう言った凶暴性が軍隊という組織だけではなく、アメリカのごく普通の日常の中にあったのだということが、この本を読むと理解できるのです。
 現在のアメリカは、先進国の中で飛びぬけて殺人事件が多い国で、犯罪多発の国でもあります。世界の富と知識と教養に溢れている国なのに、何とも不思議に思えます。やはりアメリカは“若い国”なのでしょうか。

アメリカは不思議な国よね