避難計画

各地の原発所在地の周辺30キロ地区では、事故時の避難計画策定が自治体に義務づけられているようですが、半数以上の自治体では避難計画がまとまらないと言われています。数百人単位の避難であればともかく、数万人規模の避難ともなれば現実的には短期間での移動は困難であり、輸送手段、避難先場所などどれ一つとっても実現性が難しいと思われます。このようなことは当初から分かっていた事であり、今さら驚くにはあたらないのですが、自治体がそのような声をどうして上げないのか不思議にさえ思えるのです。唯一有効で実現性があり将来にわたって安心できる方策は、原発の再稼働中止であり廃炉なのです。こんな分かりきったことがなぜ出来ないのか理解に苦しみます。
予想されている東南海地震想定地域の太平洋沿岸では、当該自治体からの住民流出が増加していて、関係者は苦慮しているとの報道もありました。これも当然と言えば当然で、むしろ賢明な対応と言うべきでしょう。いずれ来ると予想されている災害に対して事前に回避する手段を講じることは、知恵ある者の行うことであり自治体はむしろ奨励すべきと言えます。財産と生命を守り混乱を回避するにはあらかじめ準備することをおいて外にありません。自治体関係者がこのような賢明な行動に対してなぜ苦慮するのか、全く理解に苦しむことです。何億円もかけて避難タワーを造ったところでどれほどのものか、少し考えればわかることなのですが、どうもピントがずれているようです。事前の対応は最良の避難計画なのです。
同じように直下型地震の脅威にさらされているこの東京では、地盤の軟弱な地域に高層マンションが建設され続け、2020年のオリンピックを当て込んだブームとも言える状況が起こっています。昔から“川むこう“と呼ばれた地域は湿地が多く、液状化する危険性が高い土地柄です。比較的地盤の安定している西の台地に住んでいるものとしては、砂上の楼台に住む勇気はとてもありません。やはり理解に苦しむことの一つです。
以上理解に苦しむ3題話でした。

避難計画 方舟