まだ興奮冷めやらず・・・

ボブ・ディランの30周年記念コンサート・インN・Yがパート1・2となって放映(再放映となるんですかね、前に一度やったから)されました。久しぶりに観なおして思ったのは、スーパーで表示される歌詞が反戦争であったり反体制であったり神を揶揄したりで、かなり過激な内容を含んでいるものであったと改めて驚きました。出演者はみんなボブ・ディランの持ち歌を歌っているんだけど、自分の歌い方で歌っているから、最初に聴いた時にはまるで別の歌を聞いているような違和感を持ったものです。けれど今は歌い手の力量の高さに感心してしまいます。
パート1で歌っていたスティービー・ワンダーの“風に吹かれて”などは、冒頭の“語り”と言いメロディーラインと言い、もう完全に“別物”と言えるほどの変身を遂げた内容で、高度な音楽性と即興性の傑作でしょう。ブーイングの中で登場し予定されていた歌を歌わずに、演奏も何もなくボブ・マレーの歌を絶叫した坊主頭のシネイド(前はシンディーと言っていた)・オコーナーも印象深く記憶に残ります。昨年亡くなったルー・リードも元気なところを見せていました。また、リッチー・ヘブンのギターテクにも驚きました。
パート2の後半にやっとボブ・ディラン本人が出てきて鼻歌風に歌います。これも若い頃とは全く違った歌唱法で面食らった記憶があります。前半ではエリック・クラプトンややはり故人となったジョージ・ハリソン、それと若手などが次々と登場して全く飽きさせず、これでもかといった魅力満載のステージが続くのです。20年も前のステージですが鮮明な画像と良質の録音で古さを感じることはありません。そして出演者の豪華な顔ぶれとともに、もう今となっては再演が困難なステージは、さすがに“伝説”と言われるにふさわしいものでした。音楽的背景、レベル、歴史の違いをまざまざと見せつけられたステージでもあったのです。
こういうの観ちゃうとこの国の音楽環境はまだ幼稚園レベルと思えちゃうのね、まったく。

ボブ・・ねえ