思いがけない・・・

「思いがけないときに、思いがけない贈り物」をすることが相手の気持ちを引き付けるとは、映画「小説家を見つけたら」のなかでショーン・コネリーの言うセリフですが、さして期待せずに借りてきた本が予想をはるかに超えて面白いときにも、“思いがけない”拾いものをしたと少しだけ得をした気持ちになれます。
「コンタクト・ゾーン」という本は篠田節子という作家のものですが、今までこの作家の本は一度も読んだことがなく、さらに言えば篠田節子という作家さえも知らずに借りてきた本だったのです。題名からしてSFかな・・ぐらいのつもりで借りてきたのですが、東南アジアのリゾート地で起きた革命騒ぎに巻き込まれた女3人組の話で、背景や人物の書き込みが丁寧なこと、かなり緊張した場面でのユーモアなど、今一番の売れっ子のノーベル賞候補作家よりはるかに読み応えのある作品と思えました。「女たちのジハード」で第117回の直木賞を受賞している作家(知らなかった)ですから筆力は確かなのでしょうが、8ポイント上下2段組み500頁の長丁場を飽きさせずに読ませる構成力は大したものです。ただ、題名の「コンタクト・ゾーン」が何を意味するのか分からずに読み終わってしまいました。異文化との接触なのか自分自身の未知なる部分との接触なのか、それともまったく別の意味なのか、まあ面白いから題名などどうでも良いかも知れませんが。

いつも横になっている写真ではなく、思いがけない写真でも出したら