選挙制度のジレンマ

「0増、5減」の区割り法案が衆院強行採決されて、このままいけば成立しそうな気配です。選挙制度も法律によって決められますから、その法律を決める議会の賛成を得られなければ成立しません。提案された選挙制度が議員にとって不利なものであれば、議会はそれを通すはずはなく、結局のところ議員に都合の良い制度しか議会を通過しないということになります。選挙法は議員を選ぶための法律で、その法律を決めるのは議員という仕組みがある以上、選挙制度有権者の権利を最優先するものには成りえないのかも知れません。
民主主義がその実現に向けて様々な方式を考えだし、依然として最良の手段を見つけられないものの一つが選挙制度です。国によって、選挙の種類によって幾つもの方式が採用されています。中でも一番複雑で有名なのがアメリカの大統領選挙で、選挙人を選ぶ予備選挙と選挙人による本選挙というややこしい仕組みで、これ州ごとに行うようになっています。また1位得票数が有権者過半数に満たない場合は上位2名の決戦方式、得票数順に定数を当選とする方式、単純に最多得票者が当選とする方式などなど、これといった決定打を欠いたままの模索状態とも言えるレベルなのです。そうした幾つもの選挙方式を決めてきたのが議員なのですから、選挙制度有権者のためのものではなくて議員のためのものと言っても過言ではないのです。
このジレンマ、悪循環を一度断ち切るには、選挙制度有権者の直接投票によって決めることだと思います。行政と有権者による委員会が制度案をつくり、それを住民投票によって決めるという流れがまっとうな気がするのです。しかし、住民投票が嫌いなこの国の議員たちは既得権益を守ることに血道を上げるのでしょうか。
 

なに?ジレンマって