根付かないこの国のナショナルトラスト運動

私は「トトロのふるさと基金」という団体の会員です。会員と言っても会費(年3千円)を払うだけの、言ってみれば“枯れ木も山の賑わい”程度の会員ですが、入会してからもう20年ほどになるかも知れません。それでも最初の頃は調査活動に参加したりイベントなんかにも参加して、まあそこそこの会員でした。ここ10年ほどは先ほど書いたような状態です。入会した当時は確か1600人ほど居たと思われる会員数も、2011年現在では1286人となり寂しい限りです。イギリスのナショナルトラストやアメリカのシェラクラブなどと比較すると、そのあまりの落差に愕然とします。“自然保護”といった課題が市民レベルでどの程度認識されているか、また国や行政がどのような姿勢で向き合っているのか、そういったことがこの差となって現れていると思います。
「トトロ・・」はこの国では珍しい公益法人の自然保護を目的とする団体で、主な活動は東京から埼玉にまたがる狭山丘陵のナショナルトラスト化を目指しています。全国から寄付や地権者の協力を得て、森や湿地などの保全を目的とした土地の取得に力を注いでいます。団体名の「トトロ」はもちろん宮崎アニメの“トトロ”から来ていますが、狭山丘陵自体が“トトロ”の舞台となっていることに依ります。ナショナルトラスト運動ではイギリス湖水地方の取り組みが有名ですが、あの地方も「ピーターラビット」というキャラクターとその作者が大きな原動力となりました。私達の国のナショナルトラストは、海岸線の保全などで細々とした取り組みが続けられていますが、「トトロ・・」を含めその活動は大きなうねりとはならずに停滞状態です。“自然保護”という名称や取り組みもなにか上から目線とも思え、ヒトの驕りから出てきたのではとやや違和感を抱くこともあります。しかし保護以上にヒトの破壊が進行しているので、やはりヒトが出来る自然との共生への取り組みに、出来る範囲で関わっていく大切さを思います。
                                   続く

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