趣味

 大体月に一回の割合で山に登って昼飯を食べるというのが、ここ2年ばかりの習慣となっています。御開帳は頂上であったり途中の見晴らしの良い所であったりですが、場合によっては頂上には行かずに昼飯だけ食べてそのまま下山することもあり、最初にも書いたように登山というよりは山へ昼食に行くのだと思っています。いつも一緒の相方はもう40年にもなろうという付き合いですから、おたがいの癖や思うところはほぼ飲み込んでいる気楽さで、“今日はもう帰ろうか”などいって頂上直下でも平気で下山します。昼食と並んでの目的は温泉で、これは省略せずに必ず入って行きます。一汗かいたあとの温泉は格別で、まして昼間のうちからの温泉は、それはそれは結構な気分となるものです。その昔、「キスリング」という大型ザックを背負い南アルプス北アルプスを縦走した頃は、汗臭い体をそのままで帰りの電車の乗りこんだものです。今思えば周りの人はエライ迷惑であったろうと、この場をお借りして御免なさいを申し上げる次第です(まるで意味はないのですが)。
 登山という行為が何か若者のストイックなものと思われていたのは昔のことで、いまでは「山ガール」をはじめ「山婆」「山爺」」全盛の時代ですから、カラフルなファッションと高齢者の団体が“百名山”に群がっています。けれど百名山を外して登山するなら、そこには静かな山が未だに数多くあり、ゆったりとした時間の流れを満喫できます。登山を趣味として考えるなら、食事、運動、瞑想、自然観察、写真撮影、友人や仲間とのダべリング、・・etc・・など、かなりの広範囲にわたった趣味と言えます。また年齢も問わない趣味でもあります。1950年ごろからはじまる第一次登山ブーム、1990年代の第二次、そして今は第三次の登山ブームと言われるようですが、「山愛好家」としては、団体で大騒ぎしながら登る高齢者集団や、富士山に代表される馬鹿騒ぎ登山だけは勘弁して欲しいと思っています。趣味として洗練された行為を追求して欲しいものと、余計なお世話を考えてしまいます。
   
   なに、私の趣味、見て分からないの。