”陽水”を聴く

 私の若いころ(いよいよ出ました、老人化言動)の音楽シーンは、まずビートルズがきてボブ・ディランがきて、そしてアニマルズなどと続きました。もちろんその前にはプレスリーなんてことも少しあったけど、とにかくビートルズがずば抜けていました。国内の歌手では赤い鳥なんかが好きで、コンサートにも行ったりレコード(CDではない)なども買ったりしていました。ちょうど和製フォークブームなんて時代でしたから、皆自分で作った歌を引っ提げて賑やかな時代でした。
 井上 陽水の歌は話題になってからしばらくして聴くようになったと思います。たしか”心もよう”が最初に聞いた曲だったように覚えています。旋律と詩がぴったりしていたのですぐにハマりました。詩だけを取り出して今読んでみると、ややこそばゆい気がして落ち着かなくなりますが、当時はそんなこともなく上手いもんだと感心したのでした。ビートルズやディランは、正直言って歌詞はあまり分からずに聴いていたので、メロディーに乗せて詩を歌うことの心地よさにシビレタのです。
 今でも井上 陽水は現役で新曲も出していますから、改めて”陽水”を聴くもないのですが、最初の頃のアルバムやヒット曲を今聴いてみると、流石に彼は歌がうまく“子宮に響く”とか“母性をくすぐる”と言われた歌唱法に耳を瞠り?ます。ビートルズ世代の彼がその影響を色濃く受けたことは、メロディーラインからもうかがわれますが、あの甘ったるい歌い方が独特の魅力の生み出していたのでしょう。最近でもNHKのTV”ブラタモリ”で主題歌を歌っていますが、相変わらずねちっこい節回しは健在で、やや甘さはなくなっているとはいえ“陽水節”を堪能できます。同じ年代なのにあちらはずいぶんとご活躍で羨ましいことです(爆発ヘヤーは大分後退したようですが)。
    
    私の若いころ。