円高

 歴史的円高だそうです。昨日は日銀が介入したようでやや戻したみたいですが、70円台は変わらずその道の専門家の中には、1ドル50円辺りで落ち着くなどとすごいことを言う人もいます。要は円が強いのではなくドルが弱いのですから、いくら為替に介入したところで一時しのぎの効果しか得られないのは分かり切っているようです。
 一般的には自国の通貨の価値が高まれば、国民は何もしなくても財産が増えるという、大変結構な訳なのにそういった実感は微塵もありません。むしろ産業の空洞化に拍車をかけるとか、さらに就職難がやってくるなど景気の良い話は聞かれません。どうもこの辺りの仕組みがいま一つ分からないことが多いのです。円高は輸出が難しくなると言われますが、最初から円建てで契約すればいくら円高になっても影響は直接出ないと思うのです。アメリカがこれほどドル安になっても平然としていられるのは、全ての決済がドル建てにより行われているからでしょう。なぜ日本の決済までドル建てなのでしょう、もっと円建て決済を増やせば円高にびくびくすることは無くなると思うのですが、それは出来ない相談なのでしょうか。アメリカの対外経済戦略にいつまでも付き合っている時ではないと腹をくくるべきでしょう。
 これ以上円高が続くと国内生産が採算取れないから「もっと賃金の安い外国に生産拠点を移す」という声を経営者からよく聞きます。しかし外国だって何時までも低賃金に甘んじることは無いでしょうし、生産拠点を移すことで自国内の購買力低下を招いては、足元から瓦解してしまう恐れだってあるでしょう。自国内のマーケットを潰してしまっては元も子も無くなってしまいます。円高になれば馬鹿の一つ覚えで「為替介入と金融緩和」という政府や日銀と同様に、生産拠点の国外転出のみに活路を求めるのは企業家としてあまりに芸がないというか、企業の社会的責務を放棄した短絡的、長期展望を持たない姿勢と言うべきでしょう。円が本当に強くなったのであればそれをバネにするぐらいの工夫があっても良いと思います。“角を貯めて(矯めてではなく)牛を殺す”との例えもあるのですから(そんな諺は無いですか)。

ねえ 円高で資産が増えてるんだったら 私のこのシェルターのグレード上げてよ。