変わり目

 いつも散歩に行く遊歩道に花がいっぱい咲いている所があり、先週までは蝶が飛びまわっていた。けれど今週は全く見かけない。季節の終わりは突然やってくる。数種の蝶が飛んでいたが、なかでも「ツマグロヒョウモンチョウ」という近頃この辺りで頻繁に見かけるようになった蝶が多かった。この蝶はもともともう少し西の方に生息していたものらしいが、ここ10年ぐらい前から関東地域で確認され、東京あたりでも近年よく見かけるようになった種だ。例の“温暖化”と関係しているのでは言われているが、この蝶に限らず子供の頃には見かけなかったものを目にする機会が多くなった。その反対に子供の頃はいっぱい居た蠅などは近頃殆どお目にかからない。地域全体の衛生状態が良くなったことと、網戸などが各家の窓に装置されたことで、家の中で蠅を追い払うことがなくなった。ハエ取り紙や蠅帳といった道具類も使わなくなったし、言葉自体がすでに死語化している。
 “今日は昨日の続き、今日の続きはまた明日”という風に連綿と続く時間の流れも、“百居ても 同じ浮世に同じ花 月はまん丸 雪は白たえ”という達観も今では通用しないかも知れない。何を今さらそんなことを・・と言われそうだが、“咲いて散る間に舞台は変わる まして貴方はなおさらに”との決まり文句のように、一晩寝て翌朝起きれば世界は変わっていた、ことだって起きる世の中になってきたらしい。「ターニング・ポイント」とか「転換期」などと言われる時代に立ち会うことは、幸福なことなのかその反対なのか分からない。ただそういった事実の推移について行けるのかどうなのか、対応できるエネルギーがあるのか一抹の不安は残る。
 散歩の途中の蝶を見かけなくなったことに、話を針小棒大にしてネタ切れを凌ぐ今週の御粗末でした。でも本当に突然居なくなってしまうのですよ、蝶たちは。

何を言ってるんだか・・・。