自給自足

 TPPとかFTAとか言うアルファベットが飛び交わっていますが、自由貿易を基本に関税障壁やらの様々な国別間の壁を取り払う制度を目指している国際的協定のことだと言われています。何やら乗り遅れると不利だとか、急ぐ必要はないだとか賑やかなことです。細かいことは分かりませんが、世界中の国が自由に貿易したり行き来したりするのはよいと思いますし、文化交流にもなるので結構であろうとも思います。けれどどうも胡散臭さが払拭出来ません。どこがどう胡散臭いのか的確に指摘は出来ませんが、アメリカの農産物を各国にばらまくための、違う言葉で言えば戦略物資としての食料の支配権を確立しようとする国家戦略が見え隠れする、とも思えるのです。
 広大な農地と高い農業生産性をもつアメリカは、余剰農産物を常に抱える国でもあるのです。世界的な人口増加と生活レベルの向上に伴い、食料の持つ戦略的価値はますます高くなっていくと言われます。軍事国家としてのアメリカは、おそらく“飴と鞭”、食料と軍事力の両方で21世紀以後の世界戦略を想定していると思われるのです。自由貿易と関税障壁の撤廃はアメリカのこの戦略の前提条件となるものです。すでに自動車や家電、その他工業製品におけるアメリカの輸出競争力は、日本をはじめとする他の工業国からかなり水をあけられています。アメリカに残された牙城は、先端技術の部門とそのパテントなどの知的所有権、及び軍需物資と農産物ではないかというのが私の邪推です。
 私は自国の食料は自国で賄うことを基本に農業政策は進めるべきと考えています。世界中から国家が無くなり、世界連邦政府として本当の意味で国家間の障壁が無くなるまでは、まず食べ物は自給自足体制が国の基本であるべきです。生物は食料を求めて35億年を生きてきたのです。ヒトもまた同じ道を歩んできました。その土地、その文明が食料を生み出し、文化を創造してきたのです。食料を自給できない生物は絶滅するしかなかったことは歴史的な事実なのです。この国もつい半世紀前までは食糧難で苦しんでいたことを忘れたのでしょうか。だから、TTPもFTAもそれらを踏まえた議論が大切かと思ったりするのです。ただし、農協や農水省のご都合主義には反対ですが。

私はTPPなどには関わらないのよ。