漫画、アニメ規制の都条例

 先週の都議会で漫画やアニメの性描写規制を目的とする条例案が民主、自民、公明などの賛成により可決されました。漫画家や出版業界はこぞって反対をしていた条例です。最大の推進者は石原都知事で、前回都議会では否決された条例を一部手直ししての可決でした。
 石原都知事の狙いが例に依ってのアナクロ的な発想から来ていることは発言その他で明らかですが、それに対するマスコミの反応はあまりに鈍かったと思われます。一番規制しやすい対象をまずやっつけ、その後に本命の出版やマスコミの統制に進んだ昭和の暗黒時代を、現在のマスコミ当事者たちはどう考えていたのでしょうか。確かに今はインターネットなど、国が規制をかけても効果を十分期待できない状況はあります。また一地方団体の規制条例ですから、ローカルな影響にとどまると考えているのかもしれません。そして規制の対象が青少年向け漫画やアニメの過激な性描写に限定されている、といった比較的狭い範囲での規制ということも一因としてあるでしょう。しかしいつの時代でも最初からそれと分かる様な弾圧(これもやや古い表現とも思いますが)は無く、ましてや自由全盛の現在ではかなり巧妙なやり方で攻めることはまず間違いない、と考えて対応すべきではなかったでしょうか。それが報道の自由を標榜するマスコミ各団体の最低限の対応と思うのです。
 それつけても、石原都知事の勝ち誇ったような記者会見は見苦しく、あのような態度を容認させている新聞各紙やテレビ関係者は、もう少し反骨精神をみせて欲しいと思います。都主催のアニメフェスティバルへの参加拒否を表明した出版各社に対して、恫喝とも言えるような物言いをする都知事の態度は、マスコミの弱腰をみすかしているように見えました。

私は厳しいわよ 弱腰なんて問題外ね。