罪滅ぼし その4

第3章  山林は私的所有にはなじまないね はっきり言って。
 その道の専門家によれば、この数千年は非常に安定した気候の時代で、むしろこのような安定期は地球の歴史の中では稀であるとも言います。地球史的なスケールでみれば驚くほど安定した数千年もほんの一瞬の出来事でしょうが、その瞬間も終わりの時が来ているのかもしれません。“異常気象”と言われる本来の気候がやって来ると言う漠然とした不安が現実のものとなり、豪雨や強風が頻繁に襲う日々が度重なるようになれば山林の荒廃は一層進み、絶妙な自然ろ過装置は破壊され、濁流が直接河川に流れ込むこととなります。都市を襲い田畑を飲み込む水害が多発して、多くの財産や命が失われる現実に直面することになるのです。そうなる前に今から出来ることを粛々と実行する必要があります。一過性の事業でなく長期の展望に立った事業を興す必要があるのです。
 それにはまずこの国の山林の全容を再調査し、現在区分けされている利用地域と保全地域を洗いなおす作業を行うことです。同時に、各地域の荒廃度や利用状況を数値化し、優先順位をつけ緊急性の高い地域から保全事業を実施することが必要でしょう。保全事業は今後予想される気象条件の激化に伴い、山林の荒廃をどのように防ぎ且つ有効的に利用するかを基本に、50年100年を単位として継続して実行されるものとなるべきです。  これらの事業を進める上で、山林の私的所有は大きな障害となっています。山林の持つ社会的役割を考えるなら、山林の所有は入会権などを基本として、私的所有権は制限する方向にすべきと考えます。国もしくは自治体による管理運営を前提に、林野庁など既存の組織を改編し、新たに総合的山林運営を行う組織を立ち上げる必要があります。これは林業に携わる人口を拡大することにつながり、一過性でない新たな雇用の場が生まれることとなります。山林経営を個人の責任に委ねるのではなく、公的機関の管理運営によって行われる事業として位置付けることを基本とすべきです。            つづく


うーん 今度は眼が・・・。