「あ」の考察

 50音第一番位、母音、あなたのあ、あちらのあ、あれのあ、あ!のあ、あああ・・のあです。因みに母音は「い」「う」「え」「お」との5音ですが、「い」以外はみな1音で使うことが出来ます。うめき声「うー」、びっくりした時「えー!」、歓喜の時「おー!」などです。なぜか「い」だけは「い!」とか「いー!」などと使いません。しかしこれは今日の本題ではないのでこれくらいで止めます。
 今日はあなたの「あ」、あちらの「あ」、あれの「あ」です。いま挙げた「あ」はみんな自分とは違うまたは遠いものに使います。この反対の言葉は「こ」で、こなた、こちら、これ、となります
    憶良は今はまからむ 子泣くらむ その彼の母も我(あ)を待つらむそ
これは歌の中にも詠まれている憶良の作ですが、ここでは「あ」が自分のこととして使われています。あたしの「あ」も自分のことです。このほか万葉仮名では、吾(あ)も使われます。もともと「あ」は自分のことを指すものだったようなのです。それがいつの間にか自分以外のものを指す言葉の“頭”に使われるようになったのでしょう。あなたという言葉は「彼方」の外に「貴方」「貴女」などと使われますが、これらも全て自分以外のものを指しますし、「貴」は「彼」の当て字だと思います。あちらは「彼方」と書きますから「あなた」と同じようです。あれは「彼」の一文字を当てますからこれも同様に「あなた」の転用かと思われます。では遠くを示す「彼」がどうして「あ」と読むようになったのか良く分かりませんが、「か」の母音だけが残りそのまま使われ、自分を示す「あ」と同じ音となった、つまり「我」の「あ」や「吾」の「あ」とはもともと違うもので有るようです。「あなた」は「かあなた」、「あちら」は「かあちら」、「あれ」は「かあれ」だったのです。そのまま言うと間が抜けた言葉になるので「か」を省いたのでしょう。いやあ納得しました。  もちろんこれは与太話ですから本気にしないでください。

朝からなんですが 眠る の図です