中国特需

 景気が良いとされる中国の富裕層を当て込んだ商売が盛んです。自治体までが中国客誘致に力を入れ、景気浮揚につなげようと動き出しています。どうもしっくりきません。
 もともとこの不景気の原因は、外需を頼みにし過ぎたところから来ているのではなかったでしょうか。いくら中国からの観光客が物を買うからと言って、そういつまでも続く訳でもないでしょうし、いずれ次の手を考える羽目になるは必定と思うのです。自治体はもう少し足元を見つめ、長期の展望のもとに策を練ったらよいと考えるのですが、量販家電業界の尻馬に乗るかのような浮ついた目先の手は、あまり誉められたものとは思えません。自治体の職員がはっぴを着て“ニーハオ”などと言っていると、欧米や中国以外の国からは中国偏重と思われ、いかにも金が目当てと言っているようで、じつにどうも下品に見えます。
 この不景気は今の日本にとって、自らを見つめなおす良い機会と思われるのです。よく言われることですが、豊かさの中身について再検討すべきで、すでにかなり前からその時が来ていると、いい加減に気付くべきなのでしょう。日本の成長神話に陰りが出てきた20年ほど前に、一時期そんな機運が生まれたことがありました。しかし、空白の十年と言われる停滞期を経て出てきた方向は、相も変わり映えしない輸出偏重と成長戦略でした。国民の莫大な預貯金やアメリカを中心とする各国に多額の債権を持つこの国に、“この上何が欲しい”と木枯らし紋次郎(かなり古いネタですが)に言われそうな気配なのです。
 身の丈に合った服を誂えなおし、そこからのんびりとゆったりできる生活を始めることが出来る、それぐらいの国力はあると思われます、この国にも。

顔をあげて 先を見たら。