雲をつかむような・・・と言う慣用句が有るように、雲というのは何とも不思議なものです。小さな水滴(一立方メートル当たり100億個ぐらいのサイズらしい)が集まったものなのですが、先週は夏空が続き絵に描いたような雲がたくさん眺められました。もくもく湧き上がる入道雲、ぽっかり浮かぶ浮雲など青い空とよく似合う景色でした。子供でなくてもあの白い雲に乗ってみたい人は多いのではないでしょうか。しかし雲の中は強い風(正しくは対流ですか)が起きていて、その風こそが雲の原動力となっているのですから、見かけだけでは分からないものです。
 高い山に行けば雲に直接触れることが出来ます、と言っても体中が濡れるだけですが、一応は雲に包まれる訳です。白い霧の中に入ると、時には雨のような大きい水滴が上からだけでなく下からも巻きあがってきます。「ガスる」と言いますが、視界が無くなり山ではあまり良い状況とは言えません。下から眺めてみる雲とはかなり違うものです。
夏の雲の代表と言えば入道雲ですが、急速に発達する雲の動きはダイナミックだけでなく、彫刻の制作過程を目の当たりにするようで飽きません。しかし私は経験したことが無いのですが、飛行機で入道雲などに突っ込むととても恐ろしいそうです。急激な上昇や下降に雷などのおまけがついてなかなかスリルのある経験が出来ると言います。
 雲海という現象は、まさに雲が海原のように山と山の間を埋める幻想的風景です。夏の高山では朝方によく現れます。頭を雲の上に出す富士山は、この雲海の風景を見るにはきっと最上のポイントであろうと思います。けれど今の富士山は雲よりヒトが多いらしく、のんびりと雲海の幻想に浸るには程遠い環境であるようです。

雲富士