労働も社会保障 その1

前書き  これから書くことは空論です。私の与太話です。そう思って、読まれる方は読んでください。

 「貧乏の原因になる病気、怪我、老齢による生活上の不安を社会からのぞくために、お金や品物などを国民に与える制度」。これは三省堂1992年発行の国語辞典による社会保障の説明です。岩波の広辞苑では1991年第4版に、「国民の生存権の確保を目的とする保障。わが国では社会保障生活保護社会福祉事業、公衆衛生を主な内容として、失業、労働災害、出産、死亡などの事故に備える」とあります。同じ国語辞典でもこんなにも記述が違うことに驚きます。前者はどちらかと言うと古い定義、後者は現在の通説と言える定義ではないかと思います。
 辞書の抜き書きまでして何故こんなことを書いたかと言うと、少子化労働人口の減少により社会保障の担い手の負担増大が盛んに言われ、また、高齢化社会が抱える様々な問題の第一に、この社会保障の確保の不安が挙げられ、高齢者を支える仕組みを何とか再構築しないと、社会全体が立ち行かなくなるかのような論調が全マスコミで行われているからです。確かに人口の高齢化に伴い年金受給者が増大し、年金財政は多額の支出を余儀なくされ、それが国の財政全体に及ぼす影響は決して小さくないと十分に承知しています。しかし、社会保障広辞苑にもあるように老後保障だけでなく、若年層も含めた総合的な社会的保障の制度であり、大学3年、あるいは2年あたりから就活を始めるような今の労働環境などは、社会保障の観点からしても到底容認できるものでは無いはずです。また、就職氷河期などと言われる就労の機会減少により、長時間労働、派遣労働などの無権利労働環境がまかり通っています。こういった働く環境をめぐる様々な問題も社会保障の対象であり、当然のこととして憲法にうたっている“生存権”の問題でもあるのです。
(その2に続く)

何かつまらなそうな話ね