予防

 転ばぬ先の杖、後悔先に立たずなどと言って、予防に関する格言のようなものはいろいろ有るようです。
 ではこれらが私達の間で守られているかと言うと、甚だ頼りなく、出たとこ勝負などと言う威勢のよい言葉に押されていることが多いようです。この国の人々(当然私も含め)は、どうも計画性や長期的展望に疎いのではと思います。
 自分の家を建てるのは人生最大の事業などと言いますが、この国が地震の巣の上に立っていることをその事業計画に入れない人が以外と多いのです。キッチンのシステムとか、16・16のバスルーム、畳の部屋が・・などには気を遣います。しかし大地震が来れば基礎や耐震構造のいい加減な建物はすぐ潰れます。電柱がやたら立っていますが、地震が来ると倒れます。神戸の地震の時は倒れた電柱が道をふさぎ、消火活動やら何やらに大変支障を来たしたと言います。でも東京の電柱は一向に減りません。こんなことは今さら言わなくても常識で、大多数の人が承知していることなのです。ところが改善はされません。それをあまり不思議に思わない。このところが不可解と言うか、理解に苦しむと言うか苛立ちを覚えるところでもあるのです。
 病気になって入院すると経済的には勿論のこと、精神的にも大きな負担を払わなければなりません。ですから予防医療と言う分野が有り、病気になる因子を日常生活から出来る限り排除し、事前の検査と健康管理で罹患を防ぐことが重視されます。これを習慣化することで、仮に病気になっても初期治療によって完治することが可能となり、本人の負担が軽減されると同時に医療費も安く済み、ひいては社会的な医療費の抑制が出来ます。国民皆保険制度や保健所行政はこの目的のために有ると言っても過言ではありません。にも拘らず、現在の税制度の中では、各種の医療ドック、健康のための様々な出費など、この予防医療に関わる各個人の支出を所得税の控除対象として認めていません。予防することの重要性と経済的効果が社会的に認知されていないのです。その一方で毎年増加する医療費を野放しにしたまま、効果的な対策を打ち出せずに給付の切り下げ、掛け金の引き上げなどと言う本来の目的から逆行する愚策にしがみ付いているのです。
 この国に生まれたことは喜びです、誇りに思います、日の丸を大切にします、などとアナクロニズムの国防意識を学校で教える前に、この辺りの予防意識の徹底をした方がいいんじゃないんですか、・・・ねえ。

お肌の予防にお手入れ