ブルーウィロー

ブルーウィローと聞いてピンとくる人はかなりの食器好きの、それも洋食器好きの人でしょう。イギリスの庶民が使う食器として有名なブルーウィローは、今では世界の食卓で使われるメジャーなものとなっています。中国風の建物と湖に橋が架かったところに柳らしきものが描かれた図柄で、白地に青の印版絵付けの食器です。昨年亡くなった安西 水丸さんはこのブルーウィロー(因みにウィローは柳のことだそうです。「ウィロー」という映画もありました。バル・キルマーが出ていたファンタジーもので、面白かった。)のコレクターだったらしく、「地球の細道」という本にもそのことが書かれています。
日本では明治以後に“印判手”と言われる、やはり青の印版絵付けの食器が多く出回りました。絵柄はブルーウィローとは違ってもっと緻密で複雑、多様でした。もちろん和食器ですから形も違うのですが、ブルーウィローのコピーも同じように作られて、こちらは今でもときどき見かけます。本家のイギリスでは相変わらずブルーウィローは、定番の食器として多く作られていると言います。
そのブルーウィローの図柄ですが、私たちの目から見るとかなり変てこなもので、高価な中国製磁器を買えない庶民を対象にしたとは言え、もう少し何とかならなかったと思わず口に出したくなるような図柄です。家屋、橋、湖、柳、人という定番の外にも牧場であったり森であったりの図柄がありますから、いろんなパターンのブルーウィローがあります。幾つものメーカーが作っていますから、それぞれが独自色を競っているのでしょうか。色も青の外に赤や黒もあり、本家のイギリス産のものはお洒落です。ただそうなると“ブルーウィロー”ではなくなるわけですが、細かいことは言ってないようです。
ヨーロッパがアジアを見る時に起こりがちな錯覚というか偏見というか、そんな歴史的史観を垣間見るような図柄でもあるようです。

今回の皆既月食は天気が悪く駄目でした。これは前回のもの。次回は3年後とか、生きているかしらん。