直す

台所の蛇口が古くなり水漏れをしだしたので、交換してもらいました。若い技術屋さんが来て手際よく修理してゆきました。
家の中に限らず、私たちの生活する周辺ではいたるところにメンテの必要な個所があります。道路、橋などの公共インフラはもちろんのこと、塀、門などの庭先のメンテ、屋根、外壁も定期的なメンテが必要です。ある意味では「物」は作られたその日からメンテが必要で、それによって完成品となるとも言えるのです。
各人が手を入れる場合や専門家に任せる場合などメンテも様々ですが、近頃では素人が手を出せない「物」が多くなりました。また修理やメンテの仕方も変わり、車の修理では“アッセンブリー交換”が主流ですし、PCに至っては丸ごと買換えで修理はしないと言った物まであります。壊れた部品だけを交換するとか、叩いたり曲げたりして直すと言った修理やメンテはだんだん過去のものとなりつつあります。
私は物を直して使うのが好きですから、工具や修理用の材料が自然と家の中に溜まり、かなり場所ふさぎとなっています。“DIT”という発想が欧米から導入される以前にも、この国に“直す”文化はあったのですが、近年はとくに“古くなったら買い替える”と言った傾向が強まり、物を直して使う習慣は少なくなってきているようです。下手な修理よりは買った方が安いことも多いからです。けれど一方では、ホームセンターにいくと修理道具や材料売り場におおくの人が群がっていますから、私のような人もまた多く居るのでしょう。
物を修理する職業が尊敬され高い評価を受ける社会は、健全で豊かな時間が流れている社会であると思います。物を作ること、作る人を大事にする、作られたものを大切に使う、といった流れは取りも直さず人を大事にすることであるし、人が大事にされる社会は豊かな社会と言えるでしょう。まあ能書きではなく、単純に作ったり直したりするのは面白いものです。

私のこれは直せるの