取り越し苦労

このところ“千葉県東方沖”ということをよく聞きます。地震の発生地点です。あの辺りの海底に歪が溜まっていると言われ、頻繁に地震が起きています。東南海地震よりこちらの方が切羽詰まっているように思われるほどの頻度です。一昨日から立て続けに3度ほど起きていますし、これだけで治まるとは考えられないと不安が膨らみます。まあ、いくら不安がったところで来るものは来るし来ないものは来ない訳で、心配や気をもむだけ無駄と言えばそうも言えそうですが、あまり良い気持ちにはなりません。
「取り越し苦労」というのはヒト以外の動物はしないようで、私達ヒト属はこれが常についてまわります。身体能力の低下に伴って起きる臆病風であることがその原因の一つでしょうが、過去の経験からの学習や未来への予測能力を発達させた脳の進化も大きな原因となっていることでしょう。まったく厄介なことになったものです。不安、恐れ、怖さなどは防御反応の一つと言われ、脳の進化とともに獲得した能力です。必要最小限の範囲内でこれらの能力を活用する分には有効であるのですが、過度に反応すると傍迷惑な場合があり、居もしない敵に怯えたりしてやたらと要塞、兵器をたよりにするといったことが起きたりします。「万里の長城」のように今となってみれば観光資源として有効利用できるものは良いのですが、核兵器やら細菌兵器といったものは始末が悪いことこの上ないのですから、恐れや怯えに過剰反応するのも困りものです。
ヒトとヒトとの関係では余計な心配「取り越し苦労」までするのですが、こと自然が相手になるとどうにも鈍感で、手遅れだったり的外れだったりすることが多いようです。“千葉県東方沖”の動きには「取り越し苦労」でもしたほうがよいと思うのですが、関係機関ともども民草は大胆というか無関心というか、“尖閣”に関心を示すより当面は地震でしょう、違いますかねえ。
 
 地震に備えているのではないのよ