はるにさくらのなかりせば・・・

 3月になった早々になんですが、桜の季節が近づきました。今年は梅の開花が遅れていて、先週あたりからやっとあちこちで見られるようになっています。この分で行くと桜もだいぶ遅れて開花するかも知れず、何とも気のもめる話なのです。やはり桜は世の中を華やかにしてくれるもので、大宮人ならずとも心が疼くのです。
 「吉野の桜」をその地で見たことはないのですが、染井吉野は発祥の地で堪能したことがあります。染井の墓地の中は桜の名所とともに、江戸や明治時代からの有名人が数多く眠っている所でもあり、苔むした石の表情を見ることも面白く、教科書や映画に出てくる名前の墓石に、思わずタイムスリップする浮遊感も味わえます。休日ともなると大分賑わうようですが、平日の静かな時間にゆっくりと楽しむのは格別のことでしょう。しかし以前にテレビで見た空中からの「吉野の桜」はすごい眺めで、やはりあれも一度は見たいものの一つです。
 桜の名所は各地に数多くありますが、銘木、古木、あるいは数や種類で勝負するところもありで、時期ともなればそういったところは見物客でごった返します。六義園のしだれ桜というのは有名で、一度だけ見たことがあります。千鳥が淵の桜も見事ですが、何せヒトの洪水の中を歩くようになるのでやや興が覚めます。近場で静かに楽しめるところを探し出し、独りほくおおそ笑むのもこの季節の愉しみでしょう。幸い私の住む近所には桜の古木も多いので、これは恵まれていると常々思っています。
 直下型地震がいつやってくるか分からない恐ろしい時代ですが、桜の時期が終わるまでは来て欲しくない(もちろんその後も来て欲しくありませんが)と願っています。
    
    さくらなんかなくても この布団があれば・・