生命の仕組み

 考えれば考えるほどよく出来ていて、でももっと煎じつめると、なんでこんなに複雑化しなければならないのか、分からなことだらけの生命の仕組みです。
 全ての生命が細胞という部品によってつくられていることは周知のことですが、私達は細胞の仕組みや役割をあまり考えないし深くは知りません。心臓や肝臓、胃など具体的な形となったものには関心が高く、知識もかなり持っています。ところがそれらを形作る一つ一つの細胞に関してはほとんど無関心です。ヒトの体は約60兆の細胞で構成されていると言います。この数の多さにまず私達の感覚がついてゆけないということがあるでしょう。仮に体重60キロにヒトの場合、1キロ当たり1兆の細胞が使われている訳だし、1グラム当たりでは10億(これで良いと思いますが、なんせ0が三つ以上つながるともう何が何だか・・・)の細胞が詰まっていることを想像してください。もちろんこれは単純計算ですから正確な細胞分布(因みにヒトの臓器の中でも大きい肺は約3億の細胞でできていると言いますから、細胞の大きさもだいぶバラツキがあるのです)にもとずく話ではありませんが、それでもヒトの体と細胞のスケールとの違いは少し見えてきます。細胞のサイズはあまりに小さいのです。そんな細胞が結合し各々の部署で自分の仕事をこなしています。ひとつの細胞の寿命は長いものでも数週間程度らしく、日々入れ替わっているのですが、そんなことを微塵にも感じないほど切れ目なく働いています。ヒトが病気になったり死んだりするのは、この細胞の働きがおかしくなることが大元の原因な訳ですから、やたら小さくて年中入れ替わっているものの正体を、私達はもう少し詳しく知っておく必要がありそうです。
 残念なことに、今の私にとってその課題はかなり高いハードルで、新聞の特集記事程度のレベルさえもなかなか超えられません。ですからここで詳しく書くことは出来ませんが、細胞の動きが自分の体と同調していること、細胞はやたら小さく数が多いこと、そしてその細胞を形作る分子や原子はさらに小さく圧倒的に多数なことなどを認識する程度です。細胞が持つ能力や機能、仕組みを知れば知るほどに、私達生物は不思議な世界に居ると思わずにはいられません。

不思議な、とても不思議な同居人。