ヒトはなぜゴミを出す

 使い終わった油のプラ容器を捨てる際に、洗浄して再生可能な資源としてリサイクルに回すか、ゴミとして廃棄するのか、どちらが環境への負荷が少ないのだろう。何を言っているのか、リサイクルに回した方が良いに決まっている、と単純には思えない。何故なら油で汚れたプラ容器を洗浄するには大量の水と洗剤が必要で、廃棄もしくは焼却する場合と比べて環境に与える負荷は決して少なくない。ヒトが様々な生存活動の中で排出する廃棄物「ゴミ」は、多岐にわたり膨大な量となっていて地球環境に大きな負荷を与え続けている。SDGsや環境保護に配慮するのが昨今の常識で、ヒトが生活するうえでそれらは大前提と考えるようになってきている。大量に生産して大量に消費、スクラップアンドビルドを推進してきた“先進国”の発想は破綻したかに思える。しかし、そもそもヒト以外の生物でゴミを出すあるいは環境に多大な負荷を与える生物はいるのだろうか。私はヒト以外では知らない。だとすればSDGsも環境保護もヒトの“マッチポンプ”に過ぎない。

 

 なぜヒトはゴミを出すようになったのだろう。一般に動物は食べ残した餌を放置するし糞もあちこちにする。けれどもそれらは他の動物や微生物によって処理されたり分解されたりするので環境に負荷する要素にはならない。もちろん周期的に起こるバッタの大量発生や特定種の大量繁殖による食害などにより短期的な環境負荷が起こることはあ

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る。しかしそれは地球という単位に致命的なダメージを与えるものではなく、個別的であり容易に修復可能な範囲の負荷と言える。ヒトが今現在も地球に与え続けている負荷は、ヒト以外の動植物の起こすそれとは比べ物にならない質と量であり、ヒト以外多くの動植物を絶滅の危機に追いやっている。それほどの多くのゴミを出さなければヒトは生きられないのだろうか。                    続く