二十六日目

 車を持っているとこの時期は税金や保険やらで出費がかさむ。とくにうちの車は年式が古いので自動車税の割増金が加算されて、腹立たしいことこの上ない。排ガス規制と買い替え促進を狙った制度で、新車登録から13年後になると5000円ほどの追加金が上乗せされる。もう大分前に作られた制度だが未だに生きている。2030年あたりになるとガソリン車の販売を止める話もあるから、ますます古い車への風当たりは強くなるかもしれない。

 私は古着屋を覘くのが好きで、今着ている服の多くは古着として買ったものだ。古道具屋も好きだがこの頃ではリサイクルショップという便利な店舗があって、古着も古道具も同時に見られるからとても重宝している。良いものを長く使う、大事に使うという習慣は古くからあって、大量消費、大量生産などというシステムよりずっと歴史は長い。骨董市や骨董屋も面白いが、あれは近頃ではやたら高い値段が付けられていて興ざめする。車の話に戻るが、最近の話題でビンテージカーと呼ばれる種類の車がかなりの高額で取引されているらしい。新車当時の価格の数倍、物によっては十倍もの価格は付くという。うちの車もそんな価格が付けばすぐに売るのだが、そういった話はない。

 この国が車社会になって久しいが、そのおかげで消えたもの、すたれたものが数多くある。国鉄、いまのJRなどはその最たるものだろう。日本は世界に冠たる鉄道王国であった。線路が隅々にまで張り巡らされて、交通インフラの中心となっていた。車中心の社会を目指す政策的取り組みの中で、地方の鉄道は次々と廃線となっていった。そして“民営化”という名の国有財産のたたき売りが始まった。車社会が地球温暖化に多くの貢献をしていることを考えるとき、あの“民営化”は何だったのか、SDGsなんぞを考えるよりよほど大事なような気がする。

“風が吹けば 桶屋が儲かる”という諺の意味を深く考えた方が良い。