すり寄るまたはすりすり 

 男が女にすり寄る、場合によっては男が男にすり寄ることも有るかとも思うが、ある政党が違う政党にすり寄るとかに使われるこの「すり寄る」と言う言葉の響きは、何かこう隠微と言うか淫乱と言うか怪しい語感が有り、あまり良い環境の中では使われないようだ。
 猫はこのすり寄る行為を頻繁に行う。様々なものにすり寄る。ヒト科 猫馬鹿属 猫狂い種ではこの行為を「すりすり」と呼び、自分にされたりすると大変喜ぶ。猫のこの行為は本来が縄張りを主張する匂い付けであり、他者に対しての警告であることは通説となっている。猫が同居人に対してすりすりを行うということは、とりもなおさず「この同居人は私のもしくは俺のもんだからね、勝手に持ってかないでね」と言っているのであり、第三者の対しての所有権の主張なのである。ヒトの外にも屑籠とか椅子の足とか柱とかにすりすりをする。ヒトも屑籠も基本的には一緒なのである。
 しかしヒトはこれを勘違いする。もうやたらうれしいのである。懐いてくれている、信頼されている、ああうれしい、なんて思ってしまうのである。それで抱き上げたりしようもんなら、ガブッと噛まれたりするのである。やはり馬鹿なのである、淫乱な病に冒された種なのである。

これ私のだからね